「病院の待ち時間」を深読み!問題は待ち時間の「不透明さ」だった


イライラの正体は「長さ」ではなく「不透明さ」だった

病院の待ち時間に、なぜこんなにも心がざわつくのか。
それは「1時間待ったから」「2時間待ったから」という単純な話ではない。

私自身、過日、美容クリニックで3時間、母の病院の付き添いで2時間待たされた。
そのとき、頭に浮かんだのはこの一言だった。

わざわざ予約してるのに何で待たされるの?。

この違和感こそが、病院の待ち時間問題の核心だ。

待ち時間の“長さ”より耐えがたいのは「待つ理由がわからない」こと

MEDISMAの記事によると、診察までの待ち時間として患者が許容できる平均は約37分とされている。
しかし、同じ時間でも、不満が噴き出す場合と我慢できる場合がある。

差を生むのは、時間の長さではない。

待つことに対する不透明さだ。

  • なぜ遅れているのか
  • あとどれくらい待つのか
  • 自分の順番はいつくるのか
  • 今、何が起きているのか

これらがわからない待ち時間は、体感的に何倍にも長く感じられる。
人は時間そのものより、「状況が説明されないこと」に強くストレスを感じるのだ。

「予約しているのに遅い」の正体

病院の予約は”時間”ではなく“順番”

そもそも、病院の予約は飲食店や美容院の予約とは性質が違う。

多くの医療機関で行われているのは、「時間予約ではなく順番予約」だ。

つまり、10時に診察が始まる約束ではなく、
10時台に診察の列に並ぶ権利を予約するということ。

恥ずかしながら、私はこのことを知らなかった。
母の通う病院であまりにも待たされるので、看護士に「何で10時に予約しているのに1時間以上も待つのか?」と聞いたところ、
「予約時間は10~11時の間に診察するという意味なんですよ」と教えてもらった。
私の中では「予約=診察スタート時間」だと思い込んでいたので、軽い衝撃を受けた。

そうか、この認識のズレが「約束を破られた」と感じるのだと思った。

なぜ、病院の診察は遅れるのか?

診察が予定どおり進まないのには、クリニック側の構造的な理由がある。

① 診察時間を均一にできない
同じ初診でも、すぐ終わる人もいれば、病状によって時間がかかる人もいる。
医療は工業製品ではない。
10分単位で均等に時間を切り分ければ、質は簡単に落ちる。

② 急患や重症患者が割り込む
これは医療の本質。
ここを削れば「待たない病院」にはなるが、「守るべき人を守れない病院」になる。

③ 丁寧にやろうとするほど、後ろが詰まる
医師は常に、「一人にかける時間」と「全体を回す責任」の間で揺れている。
この葛藤が、待ち時間という形で表に出る。


それでも患者の不満が噴き出す理由

患者が不満を抱くのは、遅れそのものより、「待ち時間の理由が共有されないこと」だ。

  • なぜ遅れているのか
  • あとどれくらい待つのか
  • 自分の診察は何時になるのか

これが見えないと、人は「軽視されている」と感じる。

逆に言えば、
「急患対応で遅れています」
「現在〇分待ちです」
この一言があるだけで、体感時間も感情も大きく変わる。

「待ち時間の見える化」は患者のためであり、病院のためでもある

診察をネット予約でき、待ち時間がわかるアプリ「アイチケット」は、患者の利便性を高めるだけではない。

不満が内側で膨らみ、口コミやクレームを噴き出すのを防ぐツールでもある。

もちろん、高齢者には使いづらいという課題は残る。
それでも、「不透明な待ち時間」を減らす方向性は間違っていない。

病院の待ち時間問題は「時間管理」ではない

病院の待ち時間問題は、「時間を何分短くするか」という単純な話ではない。

見える化し、どう納得してもらうかだ。

つまり、「予約したのに長時間待つ」患者のストレスをいかにしてなくすかという問題でもある。

診察スタートの見通しもなく待たされることこそが、人を苛立たせる。
これをクリアにするだけでも、待つことのストレスは大幅に軽減する。