「食品消費税ゼロ」を深読み!飲食店にとってプラス?マイナス?

今回読み解く記事
YouTube番組「弁護士北村晴男ちゃんねる」より
食品消費税ゼロは、飲食店を救うのか?
家計支援にとって、とても分かりやすいことが、各党の選挙政策として挙がっている。
それは「食品の消費税をゼロにする」こと。
スーパーでの買い物が安くなるなら、歓迎する人は多いだろう。
そりゃ、私だって素直に嬉しい。
だが、ふと疑問が湧いた。
「これって、飲食店にとっては本当に追い風なのだろうか?」と。
「仕入れが安くなるんだから助かるはず」
そんなイメージが先行しているが、実際の数字を当てはめてみると、景色は少し違って見えてくる。
計算してみると、利益は増えないことが発覚
YouTube番組でも紹介していた、月商220万円ほどの小規模飲食店で考えてみる。
売上には10%の消費税がかかるため、
店がいったん預かる消費税は約20万円になる。
経費の内訳はこうだ。
- 食材仕入:54万円(うち消費税8% 約4万円)
- 家賃・光熱費・雑費:66万円(うち消費税10% 約6万円)
- 人件費(給与):30万円(消費税はかからない)
経費は合計150万円。
ただし、ここがポイントだ。
消費税を差し引けるのは「税金がかかっている支出だけ」。
給与には消費税がかからないため、控除の対象にならない。
差し引けるのは
食材4万円+家賃など6万円=合計10万円だけだ。
つまり、
預かった消費税20万円− 差し引ける10万円= 納税額 約10万円
これが現行制度。
売上220万円 − 経費150万円 − 納税10万円= 手元に残る利益 約60万円 になる。
では、食品の消費税がゼロになったらどうなるか。
食材は消費税がなくなった分、54万円から50万円へと、約4万円安くなる。
ところが同時に、これまで差し引いていた「消費税4万円」も消え、控除できる消費税は家賃などの6万円だけになる。
となると、計算はこう変わる。
預かった消費税20万円− 差し引ける6万円= 納税額 約14万円
納税は4万円増える。
最終的な利益は、やはり同じく60万円。
増減はゼロなのである。
仕入れが安くなった実感はあるかもしれないが、結局「利益は増えていない」のだ。
飲食店はどう受け止めているのか
都内で飲食店『SAKE&WINE tono;4122』を営むオーナーのマダム・外岡潤子さんに話を聞いた。
外岡さん曰く、一番のメリットは「仕入れが安くなること」。
ただし、すぐにこんな言葉が続いた。
「外食だけ10%のままだと、”飲食店は高い”という印象が強くなり、来店が減るのではないか」と。
なるほど、飲食店を経営する立場としては、消費者心理のほうが心配のようだ。
たしかに、家で買う食品はゼロ、外食は10%。
同じ「食」なのに税率が違えば、無意識に「外食=割高」と感じても不思議ではない。
制度の差が、そのまま来店率に響く可能性がないとは言えない。
飲食店が本当に求めているもの
さらに外岡さんに「効果のある減税とは?」と聞くと、即答だった。
「消費税の完全撤廃です。インボイスもなくしてほしい」
つまり、食品だけゼロにするといった限定的な減税より、
消費税そのものをなくして、シンプルにしてほしいということだ。
また、食品の消費税がゼロになっても、「特別な対策はしない」と言う。
外岡さんは、続けてこう話す。
「価格競争に乗りません。店独自のサービスを上げていくだけ。これまで通りです」
一見響きのいい限定的な減税策より、現場が求めているのは、分かりやすく、計算しやすい制度。
そして、本当の減税によって増える利益。
これが、飲食店の「リアルな声」なのだ。
【取材協力店】

SAKE&WINE tono;4122
住所 東京都文京区千駄木4-1-22
営業時間 11:30〜14時、17:30〜22時
定休日 毎週月曜、第3火曜(不定休あり)
深読みポイント
- 「食品消費税ゼロ」は飲食店にとって利益増にはならない
- 限定的な減税よりも、一律減税がすべての人にとって恩恵がある


