コンビニ離れを深読み!「高い」よりも失ったのは「納得感」だった


客単価だけが上昇する「単価増・客数減」の傾向

先日、コンビニでおにぎりを手に取って、そっと棚に戻した。

税込み200円超。
思わず、「えっ」と声が出そうになる。

以前なら迷わず買っていたはずなのに、いまは手が止まる。
「高いから」ではない。
なんだか損した気分になるからだ。

この違和感こそが、いま広がる「コンビニ離れ」の正体ではないだろうか。

実際、日本フランチャイズチェーン協会の統計でも、コンビニ既存店は売上こそ前年を上回る一方で
来店客数は減少し、客単価だけが上昇する「単価増・客数減」の傾向が続いている。

「高い」より「損した気分」が致命傷

コンビニの値上げそのものに対し、私は「仕方ない」と思う。
原材料費も人件費も上がっているのだから、多少の値上げは仕方がないと頭では理解している。

問題は、内容量が減っていたり、サイズが小さくなっていたりする「ステルス値上げ」だ。

同じ値段で中身が減る。
あるいは値段も上がって、量も減る。

このとき人は「高い」と感じる前に、「だまされた」と感じる。

行動経済学でいう損失回避の心理だ。
得をする喜びより、損をした痛みのほうが何倍も強く記憶に残る。

一度「損した」と感じた店には、足が遠のく。
価格の問題というより、信頼の問題なのである。

コンビニは“便利屋”になった

気づけば、私自身もコンビニで食べ物をほとんど買わなくなった。

使うのは、振込や支払い、ATM、トイレを借りるときくらい。
つまり「買い物」ではなく「用事」を済ませる場所になっているのだ。

かつてコンビニは、近くて、早くて、すぐ食べられる「食の拠点」だった。
いまは、生活の細かな手続きを引き受けてくれる「便利屋」に近い。

小売店というより、生活サービスの窓口。
役割が、静かに変わっている。

日本の小売は二極化へ

その背景にあるのが、スーパーやドラッグストア、ミニスーパーの進化だ。

徒歩数分の距離に、スーパー価格の小型店がある。
弁当や惣菜も充実し、価格はコンビニより明らかに安い。
我が家の周辺にもOK、ベルク、まいばすけっとなどがどんどんできている。

近くて、安くて、おいしい。
これではコンビニの「便利だから高い」という前提が崩れてしまう。

結果として、日本の小売は二極化していく。

安さを徹底する店か。
機能に特化したインフラ型の店か。

中途半端なポジションは、生き残れない。

なお、コンビニ業界全体の売上高は直近で11兆円を超え、過去最高水準を更新している。
市場規模は拡大しているにもかかわらず、客足が遠のいている点にこそ、構造変化の深刻さが表れている。

コンビニはこれから、都市では即配拠点に、地方では生活支援の窓口にと、よりインフラ色を強めていくだろう。

日本の小売り地図の塗り替えがおこっている

コンビニ離れは、衰退のサインではない。
私たちの暮らし方と買い物の価値基準が変わったという、生活構造の変化の表れだ。

「高いから買わない」のではない。
「納得できないから選ばない」

その小さな感情のズレが、日本の小売地図を静かに塗り替えている。