焼酎に商機! 世界で「アルコール同数20%の酒」が注目され始めた

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焼酎にとって大きなチャンスが到来

焼酎に商機がやってきた。

世界的な酒類大手ディアジオがイギリスで、アルコール度数20%の「ミッドストレングス・スピリッツ」を投入した。
ミッドストレングスとは、通常の商品よりアルコール度数を抑えた「中程度の度数」の酒を指す。

対象となるのは、「Gordon’s(ゴードンズ)」「Smirnoff(スミノフ)」「Captain Morgan(キャプテンモルガン)」という世界的に知られる3ブランド。
通常の商品よりアルコール度数を大幅に抑えた20%の商品を投入し、新たな需要を探る。

日本人なら、この「20%」という数字を見て、ある酒を思い浮かべるのではないだろうか。

そう、焼酎である。

日本では20度、25度の焼酎は珍しくない。
ところが今、世界の酒類大手が20%という度数を「ミッドストレングス」という新しいカテゴリーとして打ち出している。

では、なぜ今、20%なのだろうか。

「飲むか、飲まないか」だけではなくなった

背景にあるのが、世界的に広がる飲酒量を抑える動きだ。

近年はノンアルコール市場が急速に成長している。
一方で、すべての消費者がお酒を完全にやめようとしているわけではない。

お酒は飲みたい。
しかし、以前ほど多くのアルコールは取りたくない。

そんな需要が広がっている。

飲酒の仕方にも変化が出ている。
アルコール飲料とノンアルコール飲料を交互に飲む「ゼブラ・ストライピング」や、
飲み会の途中から低アルコール、ノンアルコールへ切り替えていく飲み方も登場している。

つまり消費者の選択は、かつてのような「飲む」「飲まない」の二択ではない。

「今日はどのくらい飲むか」を自分で決める方向へ動いている。

ディアジオはすでに「Guinness 0.0」「Tanqueray 0.0」「Gordon’s 0.0」など、
複数のノンアルコール商品を展開している。そこへ今回、20%という選択肢が加わった。

ノンアルコールと低アルコールは、どちらか一方を選ぶ市場ではないのだ。

ノンアルと低アルは「両輪」

ノンアルコール市場の成長だけを見ていると、
「これからはお酒を飲まない人が増える」と考えたくなる。

しかし実際の消費行動は、もっと複雑だ。

平日はノンアルコール、週末はお酒。
最初の一杯は通常のお酒で、その後はノンアルコール。
あるいはアルコールは飲みたいが、通常より低い度数の商品を選ぶ。

このスタイルは、私自身もそうである。
その日の予定や体調、翌日の仕事、飲む時間などによって選択は変わる。

メーカー側から見れば、重要なのは「アルコールかノンアルコールか」と市場を分断して考えることではない。

0.0%から通常のお酒まで、消費者が自分に合ったアルコール量を選べる商品をどう用意するかである。

ディアジオが0.0%の商品を拡充する一方、
20%のミッドストレングスにも乗り出したことは、その動きを象徴している。

世界が「焼酎の度数」に近づいてきた

ここで俄然、面白くなってくるのが焼酎だ。

ジンやウォッカ、ウイスキーなど一般的なスピリッツは40%前後の商品が多い。
一方、日本の焼酎では20度、25度の商品は珍しくない。

つまり焼酎は、世界で注目され始めた「ミッドストレングス」に近い度数の商品を、以前から持っていたことになる。

ただ、海外での販売には別の壁があった。
焼酎は蒸留酒に分類されるため、国や地域によって販売できる場所が限られるケースがあったからだ。

アメリカのニューヨーク州では以前、焼酎を販売するには蒸留酒を扱える全酒類免許が必要だった。
しかし2022年の法改正で、アルコール度数24%以下の焼酎なら、ビールやワインを扱う免許でも販売できるようになった。
カリフォルニア州でも2023年、24%以下の焼酎について規制が緩和されている。

こうした制度変更によって、20度前後の焼酎は販売できる場所を広げやすくなった。
そこへきて今度は、世界の酒類市場で「通常のスピリッツより度数を抑えた酒」に注目が集まり始めた。

これは焼酎にとっては、最高の商機と言える。

焼酎を「ミッドストレングス」として売る

これまで海外で焼酎を売る際には、日本独自の酒として、その魅力をどう理解してもらうかが大きなテーマだった。

芋、麦、米といった原料。
麹や蒸留方法。産地の歴史や食文化。
焼酎ならではの飲み方。

こうした情報を伝えることはもちろん重要だ。

しかし、別の売り方も考えられるのではないだろうか。

「日本の焼酎を知ってください」と説明するだけではなく、

「20~25%で楽しめるミッドストレングスの蒸留酒」

として提案する方法だ。

世界の消費者側に「通常のスピリッツよりアルコール度数を抑えた酒を飲みたい」という需要が生まれれば、
焼酎の20~25度という特徴は弱点ではなくなる。

むしろ、すでにその商品を日本は持っている。

これまで焼酎が海外市場に合わせようとしてきたとすれば、
今度は海外市場のほうが焼酎の度数に近づいてきたともいえる。

そして、この変化は焼酎だけの話ではない。

ディアジオが20%の商品を投入した背景には、
ノンアルコール市場の拡大と同じく、「飲むアルコール量を自分で選びたい」という消費者の変化がある。

ノンアルと低アルは同じ流れにある

今、世界の酒類市場で起きているのは、単純な「酒離れ」ではない。

0.0%、低アルコール、ミッドストレングス、そして従来の度数。
その日の予定や体調、飲む場面に合わせて、アルコール量を調整する人が増えている。

だからこそ、これからの酒類市場では、ノンアルコールと低アルコールを両輪で考える必要がある。

ディアジオが0.0%の商品を拡充しながら、20%のスピリッツを投入したのも、こうした消費行動の変化を捉えた動きだ。

そして日本には、20度、25度の焼酎が昔からある。
世界がミッドストレングスに動き始めた今、その度数は焼酎の新たな強みになる。