連載② 変わる「お墓」のかたちを深読み!死後の手続きを託す「死後事務委任契約」とは?

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納骨先が決まっても、死後の準備は終わらない

生前に自分の墓を決め、納骨堂を契約しておけば、ひとまず安心――。
そう思っていたが、それだけでは死後の準備は終わらない。

自分が亡くなったことを、誰が納骨堂へ知らせるのか。
誰が遺体を引き取り、葬儀や火葬を行い、遺骨を納めるのか。
さらに、一人暮らしであれば、住まいや家財の整理、公共料金などの解約も必要になる。
ペットを飼っている人は、その後の暮らしも考えておかなければならない。

一人っ子の私にとって、これらは切実な問題だ。

子どもや親族がいれば、任せられるとは限らない。
離れて暮らしている場合もあれば、疎遠になっていることもある。
家族はいても、できるだけ負担をかけたくないと考える人もいるだろう。
私もそうだ。

『了聞』では、こうした死後の不安についても相談を受けている。
そこで福井住職から教えてもらったのが、「死後事務委任契約」という仕組みだった。

意外と知られていない「死後事務委任契約」

「死後事務委任契約」とは、本人が元気なうちに、亡くなった後の手続きを第三者へ託しておく契約のこと。

葬儀や法要、納骨をはじめ、住まいの片付けや公共料金の解約など、
依頼する内容をあらかじめ決めておくことができる。

死後事務委任契約は、国が認定する制度ではないが、民法に基づいて結ばれる法的な契約である。
国も2024年に「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を策定し、
死後事務サービスの契約や費用管理について留意点を示している。
ただし、遺産の分け方はこの契約では決められないため、別に遺言書を作成する必要がある。

「死後事務委任契約を結んでおけば、葬儀や納骨などについて本人の希望を明確にでき、
必要な費用も本人の財産から支払えます。残された親族に負担をかけずに済むのです」(福井住職)

誰に連絡してほしいのか、どのような葬儀を行い、どこへ納骨してほしいのか。
死後、自分では実行できない希望を、生前のうちに託しておく。
身寄りのない人だけでなく、家族に手続きや費用の負担を残したくない人にとっても、
安心につながる備えといえる。

私自身、初めて耳にした言葉だが、この制度があると聞いただけで安心感が得られた。
身寄りのない人にとっては朗報とも言える。

3年間供養した後、海外の海へ


死後事務委任契約では、死後の希望をかなり具体的に残すこともできる。

『了聞』には、母親の遺骨を納め、たびたび墓参りに訪れている女性がいる。
生前、母親と海外旅行を楽しんだ思い出があり、自分が亡くなった後は、
母親とともに思い出のある海外の海へ散骨してほしいと希望しているという。

女性は死後事務委任契約を結び、葬儀を行った後、
母親とともに『了聞』で3年間供養してもらい、その後、海外の海へ散骨するという手順を明記。
散骨に必要となる旅費や宿泊費も、あらかじめ預けている。

墓や納骨堂は「一度入ったら、そのまま」と考えていた私は、この話に驚いた。
一定期間は寺で供養してもらい、その後は思い出の場所へ還る。
死後の居場所も、自分の思いに合わせて選べるとは。
臨機応変な対応は、今の時代を生きる人間にとって非常にありがたい。

「一人だから」と心配しなくていい

とはいえ、私のように死後事務委任契約という言葉を初めて知った人も多いだろう。
何を決め、誰に頼めばよいのか分からなければ、一人で準備を進めるのは難しい。

そこで『了聞』では毎月、終活セミナーを開催している。
参加できるのは契約者や檀信徒に限らない。
墓じまいや納骨先、戒名をはじめ、亡くなった後の手続きについて、専門家に相談できるという。

「一人だからといって、誰にも見てもらえないと心配する必要はありません。
安心できる方法はあります。いつ何が起きるか分からないからこそ、まずは相談し、
将来への道筋をつくっておくことが大切です」(福井住職)

すぐに契約する必要はない。自分にはどのような準備が必要で、どんな選択肢があるのかを知るだけでも、不安は小さくなる。
死後の備えは、死ぬための準備ではない。残された時間を安心して生きるための準備でもある。

ただし、葬儀や納骨の手順を決めることと、故人をどう供養するかは別の問題である。
墓じまいをして遺骨を移せば、供養もそこで終わるのだろうか?
そもそも、供養とは誰のために行うものなのか?

次回は、福井住職の言葉から、墓の形が変わる時代の供養について考えたい。

【DATA】
■正式名称
瑞華院 了聞
運営寺院:浄土宗 瑞華院

■所在地
〒106-0047東京都港区南麻布5-1-4

■アクセス
東京メトロ日比谷線「広尾駅」4番出口から徒歩3分

■開館時間
8時20分~18時(年中無休)
参拝可能時間は9時~18時(最終受付17時45分)

■問い合わせ
0120-1492-08(受付時間9時~18時)

■公式HP
https://ryomon.jp/

■10月20日「十夜会・奉納公演」
2026年10月20日(火)、『了聞』7階本堂で開催。
15時から十夜会法要、16時から箏アーティスト・中しまりん氏とジャズピアニスト・後藤魂氏によるユニット
「YAMATO LOUNGE」の奉納公演が行われる。受付は14時30分から。参加無料、要予約。

詳細・申し込み
https://ryomon.jp/news/10月20日(火)十夜会開催のお知らせ/