「脳が老ける人」と「若々しい人」の違いを深読み! ポイントは筋肉か?

筋肉量が多く、内臓脂肪が少ない人ほど脳年齢が若い


最新の研究から、脳の若さは「頭の使い方」だけでなく、身体の状態や日々の行動とも深く関係していることが分かってきた。
記事によると、MRIを用いた解析では、筋肉量が多く内臓脂肪が少ない人ほど、脳年齢が若い傾向があるという。

この結果は、脳の若さが単に知的活動の量だけで決まるのではなく、身体の構成や代謝状態とも深く結びついていることを示している。

「筋肉量が多く内臓脂肪が少ない人」とは?

この研究で言う「健康的な身体」は、「単に痩せている人」を指しているわけではない。

具体的には、次のような特徴を持つ人だ。

  • BMIは標準域(おおよそ20〜23)
  • 体脂肪率は極端に低くない
  • 筋肉量が保たれている(標準~標準より上)
  • お腹まわりに内臓脂肪が少ない(ぽっこりお腹ではない)
  • 体重よりも「体の中身」が安定している

重要なのは、体脂肪の多寡ではなく、筋肉と内臓脂肪のバランスである。

見た目が細くても、運動習慣がなく、筋肉が少なく、内臓脂肪が多い、いわゆる「隠れ内臓脂肪型」の人は、脳年齢が高く出やすいことも示唆されている。



なぜ内臓脂肪が多いと脳は老けやすいのか

内臓脂肪は、単なる脂肪ではない。

内臓脂肪が増えると、体内で慢性的な炎症が起こりやすくなり、血管や代謝の状態が悪化しやすい。

こうした状態は、脳の血流やエネルギー効率を下げることにつながる。

一方、筋肉は血糖コントロールを助け、炎症を抑え、脳への血流を促す役割を持つ。

つまり、

筋肉量が多く、内臓脂肪が少ない身体は、
脳にとって働きやすい環境
なのだ。


若々しい脳を保つためのもう一つの鍵

脳の若さを左右するのは、身体の状態だけではない。
脳をどう使っているかも、同じくらい重要な要素になる。

脳には「神経可塑性」と呼ばれる性質がある。
これは、新しいことを学んだり、これまでと違う刺激を受けたりすることで、神経回路が組み替えられ、強化されていくという仕組みだ。年齢を重ねても、脳は刺激に応じて変化し続けることが分かっている。

実際、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究では、新しい技能や課題に継続して取り組んだ人ほど、記憶を司る海馬に構造的な変化が見られることが報告されている。

また、ジョンズ・ホプキンス大学などが関わった高齢者を対象とした調査でも、これまで経験したことのない活動に挑戦している人ほど、判断や計画を担う前頭前野の機能が保たれやすい傾向が示されている。

これらの研究が示しているのは、脳は「慣れた作業」を繰り返すよりも、考えながら取り組む新しい刺激にさらされたとき、より広い領域が同時に使われ、活性化しやすいということだ。


なぜ「新しい刺激」は、脳の若返りに効くのか

人は無意識のうちに、変化を避け、同じ選択を繰り返す「現状維持バイアス」に引っ張られやすい。
現状維持は脳にとって省エネである一方、刺激は少ない。

新しい刺激に直面すると、脳では

  • 判断
  • 記憶
  • 感覚の統合
  • 失敗の修正

といった複数の働きが同時に起こる。
この同時多発的な活動こそが、脳を強く刺激する。

私自身、この同時多発的な活動をボクシングを通して実感している。
動きを覚え、うまくいかず、考えながら修正する。
終わったあとに残るのは、身体の疲労感と同時に、頭がスッキリしている感覚

ボクシング自体が新しい運動というわけではないが、私にとっては「新しい刺激」そのもの。
そのことが、脳に強く作用しているのだと思う。

脳の若さは、日々の選択でつくられる

脳の若さを左右するのは、特別な才能や一時的な習慣ではない。
日々、どんな選択を重ねているかだ。

筋肉を保つために運動するか、しないか。
内臓脂肪を意識した食生活をするか、しないか。
そして、慣れた日常にとどまるか、新しい刺激を選ぶか。

こうした小さな選択の積み重ねが、身体の状態を整え、同時に脳を使い続ける環境をつくっていく。

脳は、使わなければ老けていく。
だが、刺激を与えれば何歳からでも応えてくれる。