「お酒を飲むと同じ話を何度もしてしまう」を深読み! それ、年齢だけが原因ではありません

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「それ、さっきも聞いたよ」と指摘されてしまう

「かおりちゃん、それ、さっきも聞いたよ」

酒を飲んでいたある日のこと。
次女にそう言われて、思わず固まった。

「えっ、うそ。今初めて話したつもりなんだけど?」

本人にはまったく記憶がない。
しかし次女によると、この日だけで同じ話を何度も聞いたらしい。

「もしかして年齢のせい?」

一瞬ドキッとしたが、調べてみると、原因は加齢だけではなく、酒の影響が明らかだった。

「同じ話」をしてしまうのは何故?

こうしたことは私に限ったことではなく、酒席でもよく見かける光景だ。

武勇伝を語る上司。
孫の話を繰り返す祖父。
旅行の思い出を何度も披露する友人。

周囲は「それ、さっき聞いたよ」と苦笑いしているのに、本人は初めて話しているつもりのようだ。

実はこれには、アルコールが脳に及ぼす影響が関係している。

酒は「新しい記憶」を作りにくくする

アルコールは、記憶の形成に重要な役割を担う「海馬」の働きを低下させることが知られている。

そのため、昔の思い出はしっかり覚えていても、
「今、自分がその話をした」という新しい記憶(短期記憶)が脳に残りにくいのだ。

つまり、話した内容を忘れているわけではない。
「自分が話した」という出来事が、うまく保存されていないのだ。

だから本人は悪気なく、数分後に同じ話をもう一度始めてしまう。

年齢が重なると起こりやすくなる理由

原因はアルコールだけではない。
加齢もまた記憶の低下を助長する原因の1つだ。

年齢を重ねると新しい情報を処理する力はゆるやかに変化していく。
そこにアルコールが加わると、短期記憶への影響がさらに表れやすくなる。

一方で、昔の出来事は驚くほど鮮明に覚えていることも多い。
学生時代の思い出や若い頃の失敗談を生き生きと語れるのは、そのためでもある。

繰り返す話には、その人らしさが詰まっている

興味深いのは、何度も繰り返される話には共通点があることだ。

仕事で成功した経験。
子どもや孫の話。
旅行の思い出。
人生の転機になった出来事。

つまり、その人にとって大切な記憶ほど、酒席で繰り返し語られやすい傾向にある。

聞く側からすると「またその話?」と思うかもしれない。
しかし本人にとっては、それだけ心に残っている大切な出来事なのだ。

笑い話で済まないケースも

「またその話?」と笑われる程度なら、それは酒席では珍しくない光景だ。
お酒の影響で新しい記憶が残りにくくなれば、同じ話を繰り返してしまうことは誰にでも起こり得る。

ただし、毎回のように記憶が飛ぶ、翌日の出来事をほとんど覚えていない、
飲酒量が増え続けているという場合は注意が必要だ。

アルコールによる記憶障害や、飲み過ぎのサインである可能性もある。

「また同じ話をしてしまった」

そんなときは年齢を責めるのではなく、自分の飲み方を一度振り返ってみよう。