悪口は自分を傷つける?「怒りの反すう」を深読み!

今回読み解く記事 オリジナル

「悪口は自分に返ってくる」は真実

誰かの悪口を言って、少しスッキリした。

ところが家に帰ってからも、その人の顔や言葉が頭から離れない。
「あの言い方はない」「前にも同じことをされた」と、嫌な出来事を何度も思い返してしまう。

実は悪口の影響を受けるのは、言われた相手だけではない。
言い続ける本人もまた、嫌な出来事を思い出すたびに相手への怒りを再体験し、
自分の心と体に負担をかけている。

今回は、悪口が自分自身に与える影響を心理学から深読みしてみよう。

悪口を言うたび、嫌な記憶が再生されてしまう

嫌な出来事や怒りを何度も思い返すことを、心理学では「怒りの反すう」という。

一度口にして終わるならまだしも、会う人ごとに同じ相手の悪口を言っていると、
そのたびに嫌な場面を思い出すことになる。

「あの人は本当に感じが悪い」
「こんなひどいことを言われた」
「あの態度が許せない」

そんな言葉にするたび、出来事の映像や感情まで呼び戻される。
相手はその場にいないのに、自分の頭の中では何度も登場することになる。

嫌いな相手について考え続けることは、その人に自分の時間と注意を差し出しているようなものだ。

怒りは、吐き出せば消えるとは限らない

かつては、怒りを外へ吐き出せば気持ちが楽になるという考え方もあった。

しかし実際には、怒りを繰り返し語ることで、かえって怒りの感情が強くなる場合がある。

怒りの原因となった出来事を何度も思い返すと、怒りや攻撃的な思考が維持され、
心拍や血圧などの生理的な興奮も収まりにくくなることが研究で示されている。

つまり、悪口を言っている瞬間は気分が晴れたように感じても、
脳内では嫌な出来事の「再上映」が続いている
。

悪口は、怒りを外へ出して終わらせる行為ではなく、怒りに再び燃料を注ぐ行為にもなり得るのだ。

悪口は言った人の印象も変える

悪口には、もう一つ厄介な側面がある。

聞いている人は表面上うなずいていても、心の中では、

「この人は、私のいないところでも同じように話すのではないか」

と警戒していることが多々ある。

悪口の内容が正しいかどうかより、「人のことを陰で悪く言う人」という印象が残るからだ。

その場では共感を得られても、長い目で見ると自分への信頼を損なうことがある。
悪口で相手の評価を下げようとした結果、自分の評価まで下げてしまうのだ。

「相談」と「陰口」は分けて考える

だからと言って、悪口を言うことをすべて我慢する必要はない。

理不尽な扱いを受けたとき、信頼できる人に話を聞いてもらうことは大切だ。
職場のハラスメントや人間関係の問題なら、具体的な対応を考えるのに必要な材料にもなる。

相談と陰口の違いは、「この先どうしたいか」にある。

状況を整理し、解決策を探すために話すのが相談。
一方、相手をおとしめることだけが目的になり、同じ話を何度も繰り返すのが陰口だ。

話した後に気持ちが整理され、次の行動に進めるなら、その会話には意味がある。
しかし、話すほど怒りが強くなり、さらに別の人にも言いたくなるなら、怒りの反すうに入り込んでいる可能性がある。

本当に距離を置くなら、考える時間を減らす

嫌いな相手のことを何度も話すと、その人の存在は自分の中で大きくなっていく。

反対に、言葉にする回数を減らし、別のことへ注意を向ければ、嫌な相手が自分の心を占領する時間も少なくなる。

悪口とは、嫌いな相手を自分の頭の中に長時間住まわせる行為でもある。
本当にその人と距離を置きたいなら、口に出し続けるより、考える時間そのものを減らしたほうがいい。

ちなみに私も苦手な相手のことは、極力考えないようにしている。
友人らに「相談」という形で相手のことを話したこともあったが、結局解決するのは自分だからだ。
解決するまでのプロセスと、自分がくだした結果だけ伝えるようにしたら、ストレスがなくなった。

ストレッサーとなる相手のことは考えない、口にしない、見ない。
これが一番の解決策だ。