「フランスでビールがワインを抜いた理由」を深読み!変わる食卓と若者の飲み方

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ワイン大国フランスで異変?
「フランス人が飲む酒」と聞けば、真っ先にワインを思い浮かべる人は多いだろう。
ところが、そのフランスで「逆転」が起きた。
国際ブドウ・ワイン機構(OIV)によると、2025年のフランスのワイン消費量は2200万ヘクトリットル。
前年比3.2%減で、過去5年間の平均と比べても7.2%少ない。
一方、フランスのビール業界団体が示したビール消費量は2210万ヘクトリットル。
その差はわずか10万ヘクトリットルだが、
統計上初めてビールがワインを上回ったとして、欧州メディアでも大きく報じられた。
ビール人気より大きい「ワイン離れ」
今回の逆転を見るうえで押さえておきたいのは、ビール人気が突然爆発したわけではないことだ。むしろ大きいのは、長期にわたるワイン消費の減少である。
かつてフランスでは、食卓を囲み、食事と一緒にワインを飲むことが日常だった。
しかし、そうした食事のスタイル自体が変わってきた。
欧州メディアでは、750ミリリットルのワインボトルが「テーブルを囲む食事」と強く結びついている一方、そ
うした機会が減っているとの専門家の見方も紹介されている。
ところが、現実は食事の簡便化や個食化が進み、複数人で一本のワインを開ける機会が減っているのだ。
その点、ビールは食事に限らず、スポーツ観戦や友人との集まりなど、カジュアルな場面にも入りやすい。
価格も無視できない。
物価が上昇するなか、比較的手頃なビールを選びやすいことも、特に若い世代には影響している。
つまり今回の逆転は、単純な「ワイン対ビール」の人気競争ではない。
暮らしの変化とともに、酒の選ばれ方が変わった結果と見ることができる。
若者は本当に「酒離れ」しているのか
もう一つ気になるのが、若い世代の飲み方である。
フランスでも、アルコールを飲まない若者は増えている。
ただ、それだけで「若者の酒離れ」と片づけると、今起きている変化を見誤る。
酒そのものを嫌っているというより、飲む量や頻度を自分で調整する人が増えているからだ。
もはや、「飲むか、飲まないか」の二択ではない。
その変化を象徴するのが、ノンアル・低アルの広がりである。
若者が「酔わない酒」を選ぶ理由
フランスの酒類専門マーケティング会社SOWINEとDynataの調査では、
2023年にノンアル・低アルを飲むと回答した人は全体の29%。18~25歳では45%に達していた。
理由として挙げられているのは、アルコール摂取を減らしたい、健康に気をつけたいといったものだ。
若者と健康志向。
一昔前の「若いうちは多少無茶して飲む」というイメージからすると、少し意外に感じる人もいるだろう。
しかし今は、翌日の仕事や予定、睡眠などを考えながら酒を楽しむ人もいる。
そして、もう一つ見逃せないのが「味」である。
2024年の調査では、ノンアル・低アルを選ぶ理由として41%が「味」を挙げている。
背景には製造技術の進歩もある。アルコールを抑えながら香りやコクを残す技術が進み、商品の種類も増えた。
「飲めないから仕方なく選ぶ」から、「おいしいから選ぶ」へ。
ノンアル・低アルが若い世代にも広がる理由の一つだろう。
「フランス人ならワイン」が変わり始めた
もちろん、フランスからワイン文化が消えるわけではない。
ワインはいまもフランスを代表する酒であり、食や地域文化とも深く結びついている。
変わってきたのは、「フランス人ならワイン」という前提だ。
食事ならワイン、友人と気軽に飲むならビール。
今日はアルコールを控えたいから、ノンアル・低アルを選ぶ。
その時々の場面や体調に応じて、飲むものを選び分ける。
2025年に起きたビールとワインの逆転は、そうした変化が数字として表れた出来事ともいえる。
ワイン大国フランスでも、何を飲むかは以前より自由になった。
酒類市場を見るうえでも、これからは「何を飲むか」だけでなく、
いつ、どこで、どのように飲むのかが、ますます重要になりそうだ。
深読みポイント
- ビールがワインを抜いた背景には、単なる好みの変化ではなく、食卓や暮らし方の変化がある
- ノンアル・低アルの広がりからは、若い世代が酒をやめるのではなく、飲み手が自由に選び分ける姿が見えてくる


